8: ◆x8ozAX/AOWSO[saga]
2019/04/05(金) 17:30:47.30 ID:iywvaqaG0
  
  
  苦笑いしながら、ヤレヤレと言った表情の結華。 
  多少機嫌が直ってきたようだ。 
  
 「うん、良かった」 
  
 「何が?」 
  
 「結華の機嫌が直ったみたいで。俺はやっぱり、笑ってる結華の方が好きだから」 
  
 「さっきまでの結華は嫌いって事でよろしいですか?」 
  
 「そうは言ってないんだがな」 
  
 「そもそも元凶が何をおほざきになられてるのやら……」 
  
  そう笑って、結華は空になったコーヒーカップを見つめた。 
  
 「でも……うん。甘い」 
  
 「もう一杯淹れようか? 砂糖も入れて」 
  
 「いやいや、もー結構です」 
  
  …………ん? 
  
  待てよ、逆に俺が二杯飲む状況ってなんだ? 
  このコーヒー飲み終えたら帰ると言ったが、それでもどうせそれ以上事務所に留まると思われていた? 
  俺がその一杯で帰らなくなると見越した上での発言だとしたら、逆にはづきさんは…… 
  俺が結華に留められる(と言うよりも結華が帰らないから俺も帰らない)ということを予測していた? 
  
  ……いや、そもそも、だ。 
  
  はづきさんの『カフェインの摂り過ぎには注意して下さいね』は、果たして俺だけに向けられたものだったのだろうか? 
  もし結華にも向けて言っていたのだとしたら? 
  俺が事務所に戻って来た時点で、結華は既に二杯目のコーヒーを飲んでいた? 
  もー結構です、は……いや、これはまだ確証を持たないが…… 
  
  そうでなくとも、俺が戻って来た時点で、結華のコーヒーに湯気はたっていなかった。 
  彼女は眼鏡を掛けているから、湯気がたっていれば間違いなく気付く。 
  では、その時点で既にコーヒーは冷めていたとしよう。 
  だとしたら何故、そんなにノンビリと飲んでいた? 
  
  早く帰るつもりではなかったのか? 
  何故未だに、何もせずノンビリと事務所に留まっている? 
  『読まれてるねぇ』は、果たして俺へ向けての呆れだったのか? 
  一度、結華の視点に立って考える必要が…… 
  
  
  
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