高垣楓「風向き良し」
1- 20
18:名無しNIPPER[saga]
2019/05/05(日) 13:51:41.84 ID:OWpqcD6m0

すいと手を伸ばして、伸ばした分だけ袋が遠ざかった。
あれ、おかしいなと思って視線を上げてみると、楓さんのにこやかな笑顔とかち合う。
再び笑いを零しながら手を伸ばすと、やっぱり袋はその分だけ遠ざかった。
俺と楓さんはお互いに笑みを零し合って、同時に席を立った。
近付いた分だけ、楓さんは離れていく。

 「楓さん?」

 「どうしました?」

 「いったん返して頂けますか?」

 「どうぞ?」

付かず離れずの足取りは喧騒を抜けて、中央広場からどんどんと遠ざかっていく。
出店通りを抜け、特設ステージの前を横切り、公園へと入ったところで逃走犯の手を捕まえた。

 「楓さん?」

 「何でしょう?」

 「それ、返してもらえますか?」

 「……どうしても、返してほしいですか?」

 「ええ」

 「そうですか。分かりました」


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
25Res/16.42 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice