高垣楓「風向き良し」
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1:名無しNIPPER[saga]
2019/05/04(土) 22:54:30.04 ID:lX2r1nsd0


 「結婚、ですか」


飾り気も何も無い小会議室。
長机を挟んで向かいに座る楓さんは、少しだけ目を丸くした。

 「結婚……いずれは、と考えていましたけれど……そうですか……そうですか」

卓上に組んだ指へ視線を落とす。
親指を交互に重ねては離し、重ねては離しを繰り返すと、姿勢を正して俺へ向き直った。

 「まだまだ足りないものだらけの私ですけれど……是非、よろしくお願いします」

 「楓さん」

 「はい」



 「ブライダル撮影の話です」

 「もちろん。知っていますよ?」

本当ですか、の『ほ』の字が口を突いて出そうになる。
脳内に自生する藪から血色の良い二股の舌がちろちろと覗いたのを見て、
俺は何も言えずに黙り込んだ。

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2:名無しNIPPER[sage]
2019/05/04(土) 22:57:34.19 ID:lX2r1nsd0

幻の花嫁こと高垣楓さんのSSです


i.imgur.com
以下略 AAS



3:名無しNIPPER[saga]
2019/05/04(土) 23:05:08.74 ID:lX2r1nsd0

 ◇ ◇ ◆

プロデュースを始めた当初、俺はアイドルとしての高垣楓について改めて考えた。
この界隈において方向性というものは極めて重要だ。
以下略 AAS



4:名無しNIPPER[saga]
2019/05/04(土) 23:29:08.80 ID:lX2r1nsd0


お酒をゴクゴク飲んでは駄洒落を連発してるけど、綺麗で歌の上手いお姉さん。


以下略 AAS



5:名無しNIPPER[saga]
2019/05/04(土) 23:36:55.88 ID:lX2r1nsd0

 「ウェディングドレスを含め、数箇所で撮影を行います。よろしいですか?」

 「ええ。それで、プロデューサーは私にどんな水着を着せてお楽しみになりたいんですか?」

以下略 AAS



6:名無しNIPPER[saga]
2019/05/04(土) 23:54:57.26 ID:lX2r1nsd0

 ◇ ◇ ◆

チャペルと聞いてイメージしていたよりも随分と落ち着いていた。
式場と言うよりは本来の礼拝堂と言った方が近いのかもしれない。
以下略 AAS



7:名無しNIPPER[saga]
2019/05/05(日) 00:15:29.81 ID:OWpqcD6m0

彼女は微笑んだまま動かず、やがて軽く首を傾げた。
何をしているんだろうかと眺めている内に、
こつりこつりと靴を鳴らしながらこちらへと近付いてくる。
俺の三メートルで立ち止まり、楓さんが再び微笑んだ。
以下略 AAS



8:名無しNIPPER[saga]
2019/05/05(日) 00:29:29.65 ID:OWpqcD6m0

準備を終えたスタッフさん達に呼ばれ、楓さんが緩く手を振り返す。
俺も手元の進行表を見直しながら彼らの元へと向かった。


以下略 AAS



9:名無しNIPPER[sage]
2019/05/05(日) 01:09:07.43 ID:SczZTxO6o
ちょっと楓さん強すぎませんかね……


10:名無しNIPPER[sage]
2019/05/05(日) 03:19:45.45 ID:UDHTBX2Xo
>>5
ほ?


11:名無しNIPPER[saga]
2019/05/05(日) 09:14:50.85 ID:OWpqcD6m0

足早に聖書台を目指そうとして、繋いだ手がぴんと水平に伸びた。
背後からこつ、こつんと足音が響く度に角度がついて、
立ち止まった俺の隣で、彼女もぴたりと立ち止まる。

以下略 AAS



12:名無しNIPPER[saga]
2019/05/05(日) 10:31:04.40 ID:OWpqcD6m0

 ◇ ◇ ◆

 「お疲れ様でした」

以下略 AAS



13:名無しNIPPER[saga]
2019/05/05(日) 10:54:27.59 ID:OWpqcD6m0

抱えたブーケを見つめ、楓さんは軽く首を振った。

 「大丈夫です。気にしていませんよ」

以下略 AAS



14:以下、名無しにかわりまして高垣楓後援会がお送りします[sage]
2019/05/05(日) 11:00:10.54 ID:OWpqcD6m0


 ― = ― ≡ ― = ―


以下略 AAS



15:名無しNIPPER[saga]
2019/05/05(日) 11:55:03.32 ID:OWpqcD6m0

 ◇ ◇ ◆

支払いを終えて戻ってみると楓さんが子供たちに囲まれていた。
耳馴染みの無い、幾らか辿々しい歌を唄う度に、子供たちが手を叩いてはしゃぎ回る。
以下略 AAS



16:名無しNIPPER[saga]
2019/05/05(日) 12:17:57.05 ID:OWpqcD6m0

スパーケンブルグという地名に憶えは無かったが、
いざ訪れてみればなかなか盛大なお祭りだった。
伝統衣装らしい服を着た老若男女が賑やかに行き交っている。

以下略 AAS



17:名無しNIPPER[saga]
2019/05/05(日) 12:46:19.16 ID:OWpqcD6m0

楓さんに小さな袋を差し出す。
彼女はしばらくぽかんとした後、おそるおそるといった様子でその袋を受け取った。
妙にぎこちない仕草に首を傾げていると、
祭りの喧騒にかき消されてしまいそうな声量で、けれど確かに呟いた。
以下略 AAS



18:名無しNIPPER[saga]
2019/05/05(日) 13:51:41.84 ID:OWpqcD6m0

すいと手を伸ばして、伸ばした分だけ袋が遠ざかった。
あれ、おかしいなと思って視線を上げてみると、楓さんのにこやかな笑顔とかち合う。
再び笑いを零しながら手を伸ばすと、やっぱり袋はその分だけ遠ざかった。
俺と楓さんはお互いに笑みを零し合って、同時に席を立った。
以下略 AAS



19:名無しNIPPER[saga]
2019/05/05(日) 15:00:52.47 ID:qcjLFNzZ0

意外な程あっさりと言い抜けた楓さんが俺から一歩だけ距離を取る。
見せつけるように掲げていた袋を、今度は胸へと抱き寄せる。
目を閉じながら、大切な宝物でも守るかのように、小さな袋を両手でそっと抱き締めた。

以下略 AAS



20:名無しNIPPER[saga]
2019/05/05(日) 15:02:05.32 ID:qcjLFNzZ0



 楓さんが、球根を返してくれる。

以下略 AAS



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