男「明日死ぬ彼女に向けて」
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10:名無しNIPPER[sage]
2019/06/11(火) 12:33:45.02 ID:8Kxlpx7EO

「さっきのは内緒だよ?」

 彼女の言葉に僕は頷く。はっきり言って混乱していた。

 ――ふと、彼女の横顔を見る。
 少しだけ見惚れた。漂う甘い香り。安心感と、心臓の音。

 きっと――なんてことを思う。
 この子と僕は切っても切れない縁があるんだろう。どこかでは告白して、付き合って、キスをする。一緒に子供を育てる。「幸せだね」なんていう彼女の笑顔を見て、余韻に浸る。
 そんな未来を信じていた。運命がそうなっていると、そういう星の下で生まれたんだと。

 ――だから、まだ焦らなくていいや。

 後悔している。
 なにもしなかったことを。
 勇気を出さなかったことを。

 だが、何かしたところで結果が変わるわけではなかった。
 結局、なにをしても後悔だけが残る。


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