無価値な男「僕は人から必要とされる人間になりたい」無価値な女「私もそう思う」
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2:名無しNIPPER[sage saga]
2019/06/18(火) 20:43:11.76 ID:kXabp11vO
「どうかしたの? 朝から溜息なんて吐いて」

ブルーな気分に浸っていると。
美しい声音が、耳に届いた。
振り返ると、清楚な美人が座っていた。

「何か、悩みごと?」
「あ、いや……別に、そんなんじゃないよ」

思わず見惚れてしまってから。
愛想笑いを浮かべて、茶を濁した。
まったく、朝から心臓に悪い。
いや、眼福だけれども。
同性が見惚れるほどの美貌。
それが、彼女の個性である。
とはいえ、それは彼女の価値ではない。
彼女の価値はもっと偉大なものだ。

こんな無価値な私に親しく話しかけくれる。

さっきは私の髪の長さの変化に誰も気づかないと言ったけれど、それには語弊があった。
彼女だけは、違った。
彼女だけは、気づいてくれた。
故に、この美人さんはただの美人ではなく。

私にとって、とても価値ある美人さんなのだ。

「それならいいけど……」
「心配しなくても、へーきへーき!」

ヘラヘラして、誤魔化して。
なんとか疑いの眼差しから逃れると。
美人は視線を下げ、物憂げな溜息を零した。

「そっちこそ、どうかしたの?」
「……なんでもないわ」
「とてもそうは見えないんだけど……」

うーむ。どうも、気になる。
美人が物憂げだと、こうも気を惹くものか。
無価値な私とは、えらい違いだ。

改めて、顔面偏差値の格差を、思い知った。


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