無価値な男「僕は人から必要とされる人間になりたい」無価値な女「私もそう思う」
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5:名無しNIPPER[sage saga]
2019/06/18(火) 20:47:44.77 ID:kXabp11vO
「……流石に早く来すぎたか」

週末。
待ち合わせ場所の駅前にて。
集合時刻の30分前に現地に到着。
周囲を見渡すも、敵影及び友軍の姿なし。
どうやら、私が一番乗りの模様。
まるで、一番乗り気みたいに思われる。
それは困る。恥ずかしい。

「とりあえず、時間を潰そう」

とはいえ、どのように時間を潰すべきか。
友達と遊びに行く機会なんてほとんどない。
だって、友達なんて居ないから。
だから、時間の潰し方すら、知らない。

「本屋で立ち読み……いや、他の客に迷惑か」

無価値な私には矜持があった。
それは有害な存在にだけはならないこと。
無価値でも、無害でありたい。
いや、無価値だからこそ、無害であるべきだ。
何故なら無害ならば、迫害されることはない。
そうやって、校内に蔓延る虐めを免れてきた。

「となると、喫茶店でコーヒーでも……」
「あの、すみません」
「はひっ!?」

頭の中に警告音が鳴り響く。
いきなりロックオンされた。
周囲に敵影はなかったのに。

背後から響いた声は男の声。
父親ではないようだ。
知らない男から声をかけられた。
そんな経験は未だ嘗てなく。
混乱しながら振り向くと、そこには。

「待ち合わせ場所、ここで合ってますよね?」
「えっ?」
「今日のデートの付き添いの方ですよね?」
「えっ? えっ?」
「自分も、友達の付き添いで来ました」

なるほど。
ようやく、理解した。
彼が、今日のデートの付き添い君か。
クラスメイトの筈なのに、覚えがない。

印象に残らない顔立ちと、雰囲気。
その理由は色素の薄さにあると思われる。
茶色がかった髪と、瞳。そして白い肌。
唯一の特徴である眼鏡も、地味な代物。

まるで、男子バージョンの私みたいだ。
なんだか、親近感を覚えてしまう。
ちなみに、私も付き添いなので立場は同じ。

しかし、彼の置かれている立場は複雑だった。


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