2: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/06/28(金) 06:12:16.53 ID:hRYw497E0
   
    
  ○  
    
  進路希望調査という爆弾が投下されてから数時間が経ってもその威力は絶大で、あたしの頭の中はこの一枚の紙のことでいっぱいとなってしまっていた。  
3: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/06/28(金) 06:14:27.05 ID:hRYw497E0
   
  「あー、なんかしんみりさせちゃってごめん」  
    
  「いやいや、これは仕方ないよ。仕方ない。奈緒は私なんかの何倍も難しい問題に向き合ってるんだし」  
    
4: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/06/28(金) 06:15:03.89 ID:hRYw497E0
  
 ○ 
  
 それから、友人のおかげで少しだけ気が晴れたらしいあたしは、残る午後の授業を無事に乗り越えて、学校を後にする。 
  
5: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/06/28(金) 06:17:44.88 ID:hRYw497E0
  
 ○ 
  
 自宅に到着して、玄関で靴を揃え廊下を歩く。キッチンの方向からは、包丁とまな板とが当たって奏でられる軽快な音が届いていた。 
 今日はなんだろうか、と鼻を利かせてみたが、まだ何か特定できるほど調理は進んでいないらしい。 
6: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/06/28(金) 06:20:17.61 ID:hRYw497E0
  
 ○ 
  
 母との話の後、重々しい心持で夕飯を食べ、お風呂を済ませると、何もかもから逃げるような思いで、布団に入った。 
  
7: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/06/28(金) 06:22:10.75 ID:hRYw497E0
  
 自宅を出て、通りに目を凝らす。 
  
 そこには見慣れた車があった。 
  
8: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/06/28(金) 06:24:49.84 ID:hRYw497E0
  
 学校で進路希望調査を渡されたこと。 
  
 その記入のために悩んでいること。 
  
9: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/06/28(金) 06:26:19.37 ID:hRYw497E0
  
  
 ○ 
  
 レッスンスタジオに到着してすぐ、更衣室でウェアへと着替え、タオルなどを手に指定されているレッスンルームに向かう。 
10: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/06/28(金) 06:27:28.59 ID:hRYw497E0
  
 トレーナーさんの怒号のような指摘と、あたしたちのダンスシューズがレッスンルームの床と擦れて鳴る音だけがひたすら響く。 
  
 そんな時間を三時間余。 
  
11: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/06/28(金) 06:29:18.47 ID:hRYw497E0
  
 そして、レッスンルームはあたしと美優さんの二人だけとなる。 
  
 今こそ質問を投げかける好機と踏んだあたしは、意を決し柔軟中の美優さんに「あの」と声を出した。 
  
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