6: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/06/28(金) 06:20:17.61 ID:hRYw497E0
  
 ○ 
  
 母との話の後、重々しい心持で夕飯を食べ、お風呂を済ませると、何もかもから逃げるような思いで、布団に入った。 
  
7: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/06/28(金) 06:22:10.75 ID:hRYw497E0
  
 自宅を出て、通りに目を凝らす。 
  
 そこには見慣れた車があった。 
  
8: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/06/28(金) 06:24:49.84 ID:hRYw497E0
  
 学校で進路希望調査を渡されたこと。 
  
 その記入のために悩んでいること。 
  
9: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/06/28(金) 06:26:19.37 ID:hRYw497E0
  
  
 ○ 
  
 レッスンスタジオに到着してすぐ、更衣室でウェアへと着替え、タオルなどを手に指定されているレッスンルームに向かう。 
10: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/06/28(金) 06:27:28.59 ID:hRYw497E0
  
 トレーナーさんの怒号のような指摘と、あたしたちのダンスシューズがレッスンルームの床と擦れて鳴る音だけがひたすら響く。 
  
 そんな時間を三時間余。 
  
11: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/06/28(金) 06:29:18.47 ID:hRYw497E0
  
 そして、レッスンルームはあたしと美優さんの二人だけとなる。 
  
 今こそ質問を投げかける好機と踏んだあたしは、意を決し柔軟中の美優さんに「あの」と声を出した。 
  
12: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/06/28(金) 06:30:32.19 ID:hRYw497E0
  
 美優さんの話を聞いて、脳裏に一人の男の顔が浮かぶ。 
  
 友人との待ち合わせをしていた際に、しつこいほど名刺を持って近付いてきたあの男。 
  
13: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/06/28(金) 06:31:43.46 ID:hRYw497E0
  
 「お疲れさん。どうだった? ってその様子を見ればわかるか」 
  
 「?」 
  
14: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/06/28(金) 06:32:10.18 ID:hRYw497E0
  
 車を運転しながら「というわけでご両親の好きな食べ物とかある? 菓子折りも用意しないと」とかなんとか言って、あたしの家に来るための算段をあれこれ立てているプロデューサーさんを見て、美優さんの言葉を思い返す。 
  
 ――この人となら。 
  
15: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/06/28(金) 06:32:40.57 ID:hRYw497E0
  
  
  
 おわり 
  
16Res/24.78 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 
書[5]
板[3] 1-[1] l20