18:名無しNIPPER[saga]
2019/07/01(月) 23:52:14.24 ID:j/IZGaDe0
「それに、今日のミスだって手を抜いたから起きたというものじゃないんでしょう? ちょっと頑張り過ぎたというか、挽回しようとやる気が空回りしてしまったというか……きっとそういう類いのものだと思うの」
「は、はいっ!私、手を抜いたりなんてしてません!」
「ふふ、やっぱり。だから、プロデューサーは何も言わなかったのよ。例え失敗したとしても、それが本気で取り組んだ結果なら、ましてや自分でも反省している娘をさらに叱るなんて、あの人は絶対にしないもの」
「それはきっとスタッフの人にも伝わっているわ──だからって、同じミスを何度もしていいということにはならないわよ? そこは気をつけなくちゃダメ」
「はい、もちろんです!」
「うん、よろしい♪ ……だけどね」
そこで一回言葉が切れて、ほんの少しだけ間が空いて。聴こえてきたのは、とっても優しい声だった。
「それでも辛くて、悲しくて、どうしようもなくなったら、周りの人を……私達を頼ってほしい。貴女には一緒に並んで歩く仲間も、少し先を行く先輩もいるんだもの……私は、ちょっと頼りないかもしれないけどね」
「そ、そんなことないですよっ、千早さんは──」
「ふふ、ありがとう……でもいいの、自分のことは自分が一番わかってるから」
「貴女になら、きっとできる。きっとたどり着ける。私は信じているわ。そう信じているのよ、貴女を──“春日未来”という、アイドルの事を」
「……千早さん」
すぐに言葉が出てこなかった。俯いてじっと耐えていた。
だって嬉しかったから。“信じてる”っていうその一言が、たまらなく嬉しかったから。
今しゃべると、きっと泣いちゃいそうになる──そう思ったら、何も言えなかった。これ以上情けない顔なんて見せられないもん……。
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