“らしくない私たち” に 祝福と喝采を
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22:名無しNIPPER[saga]
2019/07/01(月) 23:57:37.74 ID:j/IZGaDe0

 漠然とだけれど──未来は“私”は似ている。何かきっかけがあったという訳ではない。いつの間にかそう思うようになっていた。

 もちろん“今の私”にではない。父がいて母がいて、そしてあの子がいて──『この幸せな日々がいつまでも続いていくのだ』と無邪気に信じていた、昔の私によく似ていると。そう思うようになっていた。

 だが、それも違った。こうして言葉を重ねてみて、ようやくわかった。

──私は未来に、あの頃の自分を重ねて見ていただけ。

もしかしたら私も、こんなにも楽しそうに笑えていたかもしれない。そう思いたかっただけなんだ。ただの一人よがりな、勝手な思い込み。

だって未来は優しい娘だから。
『春日未来は明るく元気でいつだって前向きだから』
『春日未来は失敗しても笑い飛ばせるから』
そんな期待に──他人に望まれる“春日未来像”に、必死に応えようとする娘なんだから。それを、こんな自己中心的な私と似ているだなんて……烏滸がましいにも程がある。

まったくなんて罪深いのだろう。気にかけているつもりで、その実まるで彼女のことを見ようとはしていなかったのだから。そんな見当外れな言葉など届く訳がない。未来が困惑するのも当然だろう。

 そう気付いたのなら、いつまでも抱きついていないでさっさと離れるべきなんだ。そうだ、それでいい……それがいいんだ。

 ほどきかけた私の手に、未来の手が重なった。



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