23:名無しNIPPER[saga]
2019/07/02(火) 00:00:54.85 ID:ndUIllUw0
───────────────────side:春日 未来
「あ、あの! 千早さん! 待ってください!」
「え……?」
やだ、あったかさがいっちゃう……離しちゃいけない!そう思ったら、目の前の千早さんの手をいつの間にか掴んでた。
「えぇと、その……未来、どうしたの?」
「あ、えと、その……あの、ッ〜〜〜〜───……!」
不思議そうな声で耳の後ろがくすぐったい。
(そうだよね、突然掴んだら千早さんだってびっくりするよね。何か、何か言わなきゃ……)
でも、ダメだった。気持ちばっかり焦っちゃって、肝心な言葉が出てこなかったんだ。
今だけじゃない、さっきからずっとそう。言わなきゃいけない事はたくさんあるはずなのに、全然言葉にできない。自分の頭の悪さがほんとイヤになるよ……!
こんな時、静香ちゃんだったら何て言うんだろう。翼だったら、他のみんなだったら──春香さんだったら何て言うんだろう。私じゃない、他の誰かだったら……って。
だって怖いから。今日のお仕事みたいに上手くいかなかったら、失敗したらどうしよう……きっと見捨てられちゃうよって。そんな弱音ばっかり吐く“私”が、心の中にいる。
「いいのよ、そんな気を遣ってくれなくても……」
──でも違う、そうじゃない。そうじゃないんだって、さっきもらった千早さんの言葉が教えてくれる。
『“春日未来”を、信じているから』
私を信じてくれる人がいる。千早さんだけじゃない、きっとみんなが春日未来を信じてくれている。
だったら──もう“こんな私”でなんていられないよ!
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