30:名無しNIPPER[saga]
2019/07/02(火) 00:23:33.92 ID:ndUIllUw0
いや、実際には吹いていないのかもしれない。吹いていても、ただの気まぐれな夜風だったのかもしれない。
それでも私の心に、“未来”へ向かって風が吹き込んできたのは、きっと嘘じゃない。あたたかくて優しい“未来”の想いが、確かに届いたんだ。
そう、そうなんだ。
ぎゅっと、今度は正面から未来を抱きしめる。誰かみたいにじゃない──私が、そうしたいから。
「え……千早さん?」
「ありがとう、未来。心配しないで、私ももう大丈夫よ。だって──」
貴女が教えてくれたから。私が……ううん、私も。
「だって、私もアイドルなんだから、ね♪」
「はいっ!」
未来は笑った。彼女だけの、とびっきりの笑顔で。
私も笑っていた。彼女とは違う、私なりの笑顔で。
きっとこれが一番なんだと、今なら胸を張って言える。
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