17: ◆J2O9OeW68.[sage saga]
2019/07/24(水) 12:33:18.57 ID:rmJoFnhWo
  
 「何って、何が?」 
 「わたしの中で青空と水とを結んでいたものの正体っすよ」 
  
  まるで息を止めたような沈黙の後で、彼女は言った。 
  
 「答えてもいいの?」 
 「勿論っす」 
  
  と私は答えた。 
  
  プロデューサーさんは「そうだな」とだけ呟いて、まるで眠るみたいにゆっくりと目を閉じた。 
  ぴんと張られていた彼女の背が徐に傾いて、堅そうな背もたれに音も立てずに触れる。 
  彼女の動作はおしなべて静的だ。 
  空っぽの水槽に張りついた水面みたいに、あるいは遥か遠くまで絶えずに広がった青空みたいに、そこにはわずかばかりの乱れもない。 
  
  両肩よりも少し下に切り揃えられた彼女の黒髪を、前方から吹き付けた風が撫でるように揺らす。 
  熱くもなければ冷たくもない、あんまりに整っていて、冬空には似合わない風だった。 
  
  風が止んだ頃、プロデューサーさんは言った。 
  
  
25Res/18.08 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 
書[5]
板[3] 1-[1] l20