道化の道化「狂いながら壊れながらも、一緒に生きよう」
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3:名無しNIPPER[sage saga]
2019/08/01(木) 22:45:15.51 ID:ZeTen5TYO
「……まあ、初めは誰だって出来ないよ」
「……」
「練習を続ければ、きっと上手くなれるよ」
「……」

その僕の言葉を信じたのか、道化は来る日も来る日もお手玉を放っては床に落とし、放っては床に落としを繰り返し、そしてある日のこと。

「……」
「ん? どうしたの?」
「……」

気がつくと、道化が後ろに立っていて。
何やら手を揉むような仕草をしていて。
気になってその小さな手のひらな中を覗くと。

「あ……壊しちゃったんだ」
「……」

見るも無残に布地が裂け、中のあずきが溢れて萎んだ壊れたお手玉を道化は握りしめていた。

「このお手玉はね、亡くなった祖母から貰った大切な物だったんだ。だから、とても悲しい」

僕はお手玉が壊れても怒らなかった。
形あるものはいつか壊れると知っていた。
他ならぬ、優しい祖母から教わったことだ。
だから、ひたすらに悲しんだ。すると道化は。

「……」
「え? 何?」
「……」
「編み物……?」
「……」
「もしかして、裁縫道具?」
「……」

拙いジェスチャーから連想した裁縫道具という言葉に対して、道化は頷き、肯定した。

「裁縫道具が欲しいの?」
「……」
「わかった。ちょっと待ってて」

すぐに使用人に、針と糸を持ってきて貰った。


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