悪魔「私はあくまで、悪魔ですので」
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3:名無しNIPPER[sage saga]
2019/08/03(土) 00:51:47.24 ID:+bo6H8JxO
「ふむ。姫君と対等な立場をご所望ですか」

悪魔の美女は召喚者の風貌を無遠慮に眺める。
背は高すぎず低すぎず、中肉中背でありながらもそれなりに鍛えられており、顔は冴えない。
年齢はようやく二十代といったところだろう。

「失礼ですが、ご職業は?」
「城で衛兵を務めている」

召喚者は城務めの衛兵らしい。
それを耳にして、悪魔は邪悪に微笑んだ。
大きな胸の下で腕組みしながら、ニタニタと。

「おやおや、衛兵の分際で姫君に懸想などと」
「なんだよ、悪いか?」
「悪いでしょうねぇ、はい。この上なく」
「……そんなことは俺だってわかってる」
「本当にわかっていらっしゃいますか?」
「ああ」
「護るべきお姫様に懸想する衛兵など……」
「笑うな」
「失礼。キモすぎて失笑してしまいました」

まさに悪魔的な悪魔の毒舌と暴言に、召喚者である衛兵は死ぬかと思った。いや、死にたい。
羞恥で顔は赤らみ、怒りと屈辱で身体をワナワナと震わせ、しかし反論できない衛兵に対し。

「一度、地獄に堕ちた方がよろしいかと」

そう嘲り、悪魔が細く長いしなやかな指を打ち鳴らした、次の瞬間。何も見えなくなった。
突如として衛兵の視界は闇に閉ざされ、意識が暗転して、どこまでもどこまでも堕ちてゆく。

「ご安心ください。願いはきちんと叶えます」

闇に包まれた衛兵に唯一残された聴覚が、悪魔の悪魔の囁きを拾い、そして悪魔は付け足す。

「こう見えても私、あくまで、悪魔ですので」

どう見ても悪魔にしか見えない悪魔の洒落にならない洒落のオチを聞きながら堕ちて堕ちて。

「ああ、そうそう。願いの成就には当然多大な代償をお支払い頂きますがどうか悪しからず」

今更そんな説明をされても時既に遅く、悪魔に願った衛兵は地獄に堕ちて、その命を失った。


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