【鬼滅の刃】胡蝶しのぶ「双蝶求水」【義勇×しのぶ】
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2: ◆K1k1KYRick[sage]
2019/09/11(水) 07:40:41.36 ID:6LtJ1zmX0
「姉さん!」

闇に光る雪道には、紅血の斑紋が所々に散っていた。
鬼の襲撃の報を受けた私は、雪を踏み散らして向かった。
そして、血漿の臭いの立ち込める凄惨な現場に倒れている姉さんの姿を見た。
駆け寄った時にはもう、手の施しようがなかった。
私の腕の中で彼女の温もりがどんどん薄くなっていくのを感じ、やるせなさで胸が締め付けられた。
彼女は途切れ途切れの息の中に鬼殺隊を止めて人並みの幸せを手に入れて欲しいと願った。
儚く散っていった継子たち、そして隊士たち皆が親族に対して一様に遺す、あの願いだった。
私は姉の死を無駄にしたくなかった。ここで辞めるのは逃げる事と同じ事だと思えた。
姉さんの志を継ぎ、姉さんの分まで人々を護り、姉さんの仇を討ちたかった。
彼女と違って非力で凡才な私は、それに変わる力を薬学の研究に求め、それにより蟲柱として末席に加わった。
そして御館様はそんな私に護衛役としてあの柱を付けた――『水柱』冨岡義勇を。

「彼は優秀だが少々そそっかしい所があってね……
 あまり他の柱と関わろうともしないし、君が傍に居てくれて支援してくれるとありがたいんだ」

御館様はそうおっしゃってくれたが、恐らく研究途上の毒が
効かない鬼が出た場合の対策だろうと私は最初は感じた。
一緒に行動するようになっても義勇さんは相変わらず無口だった。
ただ、以前と違ってその変わらなさが安心させてくれた。
そして今まで見えなかった一面も見えてくる。
朴念仁かと思っていたが隊士や一般人たちを助ける彼は
深い情と熱い正義を胸に秘めている事が分かった。
そのくせ犬に噛まれても嫌われているのを認めようとしない所とか
確かに御館様のおっしゃる通り、どこか抜けていた。
鮭大根に目がない所を見た時には、私は知らないうちに微笑していた。
ああ、きっと姉さんは義勇さんのこんな所を気に入っていたんだなとようやく分かった。
そして、こんな人となら……一緒になるのも悪くないと思い始めていた。

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