【鬼滅の刃】胡蝶しのぶ「双蝶求水」【義勇×しのぶ】
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3: ◆K1k1KYRick[sage]
2019/09/11(水) 07:41:30.86 ID:6LtJ1zmX0
大晦日に蝶屋敷の大掃除をしている時だった。
私はそれまであまり触れた事のない姉さんの私物を整理していた。
箪笥の二重底に隠すようにして、数冊の日記が見つかった。
それは姉さんが鬼殺隊に入隊してから命を落とす前の事が書かれていた。
死んでいった両親の無念を晴らすための決意、血の滲むような武芸の研鑽
愛情を注いでもなお鬼との戦いで儚く散っていった継子に対する祈り……。
読んでいくと、まるで姉さんが目の前に蘇ったかのように思えるほどだった。
そして時を忘れて読み進めていくうちに、何度も日記に登場する人物の存在が私を驚かせた。
義勇さんだった。
彼との任務の時を書いた筆は明らかに踊っていた。
個人的な食事の付き合いでは文面からも笑みがこぼれていた。
明らかに一人の女性として彼女は恋をしていた。
そして日記を読み進めているうちに、彼女はいつしか私と彼の関係に悩むようになった。

「鬼殺隊に籍を置く自分はいずれ命を落とすだろう。
 それは父母の怨敵を討ち滅ぼそうと誓ったあの日から覚悟していた事だ。
 でも、出来ればしのぶには死んでほしくない。
 あの子は頑張っているけれど、私の右腕ではなく一人の女の子として幸せを手に入れてほしい。
 たった一人の私の、大切な妹……義勇君なら、しのぶを任せられると思う。
 しのぶはまだ気付いていないけど、きっと義勇君と上手く行くはず。
 だから……結ばれるのなら、私よりもしのぶでなければいけない……」

……私は日記を閉じて、嘆息する。姉さんの言っていたあの言葉の意味がようやく解ったのだ。
「しのぶはまだ恋をしていない」のではなく「しのぶは恋に気づいていない」という事だった。
そして彼女は既に私と義勇さんの恋の芽生えに気付き
自ら身を引く事でその成就をひそかに願っていたのだ。

(姉と妹が同じ人を好きになるなんて……)

日記を読み終えた私の中には奇妙で不快な感情が渦巻いていた……
この気持ちはいったい何なんだろう、姉という恋敵が居ない事への忌々しい安堵感。
そして姉の代わりに義勇と結ばれる事への躊躇い、罪悪感。
姉の居ない今、果たして私はどうするべきなのか、いや、どうしたいのか……。
深く考えると、自己嫌悪の渦中へと引きずり込まれそうで……。

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