タイトルを書くと誰かがストーリーを書いてくれるスレ part7
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21:名無しNIPPER
2019/11/28(木) 23:31:26.56 ID:Bl/80ASb0
>>18「FINAL ANSWER」
二回目の見直しを済ませて、自信のない一問を睨みつける。これが間違っているという確証も、これが間違っていないという自認もない。
答えを変えても変えなくても頭を抱えて後悔しそうである。

「なあ、どうすればいいかな」と鉛筆に話しかける。

「俺に訊かれても困るよ、考える脳がないんだから。尻の消しゴムを使いきるたぁ、大したもんだね」

「迷ったんなら変えちまえ、変えちまえ! どうせお前ごときが一個正解を上乗せしたからって、誰も影響を受けやしないんだよ! そんだから、俺を消費しろい。俺の存在理由を満たしてしまえ、オタンチン!」消しゴムが怒鳴る。

「相も変わらずガラの悪いやっちゃのう」と筆箱。「へなちょこフグリの軟体動物が」

「貴様、偉そうなこと言いやがって、ただじゃ置かねえぞ! 叩き潰してやる!」

「できるものならやってみたまえよ、むしろ君が潰されて、飲み込まれるんだから」

「ねえ、どうすれば……」

「やかましいね、たかが持ち主のくせに」異口同音だった。「君のテストなんか、こっちに取っちゃどうだっていいんだ」
冷酷な態度で僕を突き放すと、侃々諤々の騒々しく喧しい激論が机の上で繰り広げられた。

結局答えは何に確定させればいいんだ? 最終的な判断は僕には下しかねるぞ。

そこに試験官がやってきて僕を見下ろしてきた。威圧感が背中から滲んできている。
「どうかしましたか。僕何もやってませんよ」

いいや、と机の上を指さし、「お前が持ち主なら、こいつらを黙らせろ」消しゴムと筆箱がルール無用の取っ組み合いをしている。

「これは僕の責任ですか」
「そりゃそうだ、お前の持ち物だからな」他のクラスメイトも気になっていたのか、八十の瞳が僕の机を注視している。
「しかしながらですね、彼らは自分たちの自由意思で闘争を始めたわけです。しかもそれは彼らの実存にかかわっている。これは非常に重大な問題です。どうして僕にそれが邪魔できるのでしょう? 僕ができることは、彼らの意志に従うだけです」

反論を行うことで、僕はこの実存問題に自覚的になることができた。彼らが導くこの大問題の答えを妨げられないようにしなくてはならないのだ。

「そうか」と試験官は言い、筆箱たちを一手に机の上から薙いだ! 呆然とした面持ちで筆箱たちは宙を舞い、トマトを磨り潰したような声を立てて動かなくなった。
「そういうことならば、俺はお前を排除しなければならん」試験官は毅然とした態度で言った。

「それならば僕も彼らのために抵抗しなくてはなりません」

「やかましい」それが聞こえると同時に試験官の右手が僕の頭に乗せられるとそれはだんだん下がっていき同時に僕も縦に縮んでいった。
座高が半分くらいになると脚に反対の手を持っていき僕を三つ折りにして、そのあとは小枝を折る要領で掌にすべてが収まるように縮め、ぎゅっと強く握った。

それを開くとクシャクシャの茶色っぽい塊になり、試験官はそれを教室に備えつけられたごみ箱に捨てた。

「さあ済んだぞ、みんな安心してくれ」
それを聞いた生徒たちはあはは、ととても平和な笑いを振りまいた。


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