タイトルを書くと誰かがストーリーを書いてくれるスレ part7
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281: ◆copBIXhjP6[saga]
2020/09/26(土) 02:23:32.39 ID:/nTb7MJf0
>>279「或る怪談師の話」


「なあアンタ、怪談を話すのが仕事なんだろ? ならアンタの知ってる『一番怖い怪談』を教えてくれよ」
「『一番怖い』というのはありませんよ。どれも一番怖いですからね...『一番聞きたくない怪談』ならありますが」
「暇つぶしになるなら何だって良いよ。ここのメシ代でどうだい」
「あなたはきっと『聞きたくなかった』と思うでしょうが、本当に聞きたいですか?」
「そう言われちゃ余計聞きたくなるのが、人間ってものだろうさ」
「絶対に後悔しない?」
「しつこいな、もちろんしないとも」
「......いいでしょう」


  これは私がうんと若い頃、当時の師匠に聞いた話ですがね。大昔ある所に、ジョークを作るのが上手い男がいました。
 で、同じ街には胡散臭いと評判の霊能力者がおりまして、占いが当たるとか当たらないとかというのが人々の専らの話題だったそうです。
 男も占ってもらったわけですが、結果は見事に大外れ。「やっぱり霊能力なんてあるわけないじゃないか」と男が早速霊能力者を冷やかすようなジョークを作るのですが、
 酒場で一度話せば、瞬く間に町の人々へ広がりました。これのせいで霊能力者は大恥をかかされたわけです。
  霊能力者は何とかして男に報復しようとしました。そこで色々試行錯誤して、ついに「話を聞いた人間は死ぬ」という恐ろしい呪いを完成させました。
 もちろん彼はこの呪いを件のジョークにかけまして、とたんに街の人々は――それこそ噂が広がるような速さで――バタバタと倒れていったという話です。


「しかも『この話』にも、彼が発明した死の呪いがかかっているそうな。そして何よりも恐ろしいのは......」
「...アハハ、アハハハハハハハ!! いやあ、面白いなあ!」
「何がですか?」
「そりゃアンタ、これ自体も巧妙なジョークってことだろう? よくできた話じゃないか」
「この怪談は本物ですよ。呪いのこともね」
「そりゃあ嘘だぜ。本当なら良かったかもしれないけどな。でも、もしそうならなんでアンタやお師匠さんは死んで――――」

 「おい!車が窓際の席に突っ込んだぞ!」
 「と、取り敢えず救急車呼べ! 誰か早く!!」

「本当だから困っているんですよ」


数百年後

「しかも『この話』にも、その霊能力者の作った呪いがかかってるんだと。そんでもって一番恐ろしいのが......」
「......やっぱりそいつは三流でね。中途半端だったのさ」


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