タイトルを書くと誰かがストーリーを書いてくれるスレ part7
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名無しNIPPER
[sage saga]
2020/10/17(土) 22:25:14.55 ID:08sYOQwl0
>>148
「はじめての世界」
右を見て、上を見て、左を見た。12月のような寂しさもあるし、5月のような映ゆさもあり、また8月のような激しさもあるように思われる。
彼はあるときは佇みあるときは速足で路地を抜け、何度も振り返ったり灌木の裏や陰を覗いたりしていた。そしてこう考えた、
『ここはどこだ?』
非常に驚き怯えて、背中じゅうを冷や汗が微細な蛇のように這っていた。盛りの季節の柿の木の隣に、板塀越しに立ち竦んだ。彼は人とすれ違うこともできなさそうな狭隘な路地に入り込んで、開けた道路に出なければならない状況に追い込まれていた。出口の左右は塀によって囲まれ、真正面しか見えないようになっている。
『おれはあの間から娑婆に躍り出て、異邦人の裁きに晒されなければならない』
そんな不吉な予感が彼を打った。塀の陰には無数のエージェントが控えてい、俺をすぐさま攫っていけるよう万端の準備を設えているかもしれない。エージェントは画一的で、俺の右手を掴んだやつが次の瞬間には俺に猿轡をかませる役を担い、俺を運ぶ運転手が瞬く間に俺の隣でしょうもない質問をいくつも投げかけてくることだってあるだろう。
勇気を出して、路地から出てみる。明るかった。左右にまっすぐな道が果てしなく伸びていた。地球を一周して戻って来れそうだ。
秘密法廷はなさそうだった。彼は安堵し、どちらに行くか迷っていたが、足元に子どもが立って見上げているのに気づき探索をやめて微笑みを湛え、話しかけやすいように見つめ返してやった。
子どもはじっと見るばかりでなかなか話そうとはしなかった。自分が悪いのかと自信を無くしかけ、沈痛な思いで俯くこうとした途端子どもが口を開いた。もっと早く話し始めてくれ、と彼は思った。
「はじめまして」彼は次の言葉を待って黙っていた。「はじめまして」子供が繰り返す。
続く
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