59:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 23:11:37.91 ID:QXbKSZYO0
 「きらりさんは、杏さんを抱っこしながら飛んでください」 
 「随分な言い方だね」 
  
  杏さんはややヘソを曲げているが、私は合理的な提案をしているにすぎない。 
  どうせこの人はまともにジャンプをする気など無いに決まっている。 
60:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 23:13:18.87 ID:QXbKSZYO0
 「何で笑うんですか」 
 「ごめん。でも、やっぱりそれ、おかしくて」 
 「好きでこんな顔になっているのではありません」 
  
  そのやり取りを見ていたアーニャさんも、クスクスと笑っている。 
61:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 23:14:46.54 ID:QXbKSZYO0
 「5…6…7…8、あ、あぁぁ!」 
 「何やってるにゃー! 李衣菜チャン!」 
 「そ、そんなこと言われたって!」 
  
  李衣菜さんが脚を引っかけ、みくさんがすかさず責め立てる。 
62:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 23:16:26.13 ID:QXbKSZYO0
 「……44…! 45…! 46…う、わああああ!」 
 「ごめんなさい! 私が、今のは私がぁ、うぅぅ…!」 
 「大丈夫だにぃかな子ちゃん! 何度でもやり直そう?」 
 「ダー! キラリの言うとおりです」 
  
63:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 23:18:08.98 ID:QXbKSZYO0
 「……95…! 96…! 97…! 98…!」 
  
  これもようやく――ようやく、終わる。 
  
 「……99…!! ひゃくーーっ!!!」 
64:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 23:20:20.72 ID:QXbKSZYO0
 「……ありがとうございます」 
  
  この人の、これだけ気配りができる余裕はどこから来るものなのか。 
  彼女の行いは、私が黒埼家で行っているような使命感、義務感とは、まるで毛色が違う。 
  
65:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 23:23:13.08 ID:QXbKSZYO0
  ――あずましぃ。 
  
 「あっ! アーニャ、それってどんな意味!?」 
  
  遠くの方でかな子さん達と談笑していた未央さんが、耳ざとくアーニャさんの呟きを聞きつけて駆け寄ってくる。 
66:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 23:24:55.55 ID:QXbKSZYO0
 「えっ、ちよちーも北海道出身なの!?」 
 「はい」 
  
 「ええぇぇ、でも、そんなズルいよアーニャ! 
  だってさっき、明らかにロシア語っぽく「アズマァースィ〜」って流暢に言ってたじゃん!」 
67:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 23:26:37.46 ID:QXbKSZYO0
    * * * 
  
  当日は生憎の天気だった。 
  それはシンデレラプロジェクトにとって、ある意味幸いだったかも知れない。 
  
68:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 23:28:37.68 ID:QXbKSZYO0
 「ごめんなさい……! うぅ、うっ、ううぅ……!!」 
  
  医務室のベッドの上で、ひどく無念そうに泣きはらす美波さんを、沈痛な面持ちで見守るメンバー達。 
  
  思うに彼女は、気ぃ遣いが過ぎたのだ。 
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