ハリー・ポッター「僕の言うことを聞け」ドラ子・マルフォイ「……はい」
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5:名無しNIPPER[sage saga]
2019/12/07(土) 21:21:29.73 ID:kNKMPaOnO
あくる日、ホグワーツに向かう汽車の中にて。

「お前がハリー・ポッターか?」

号泣して暫しの別れを惜しむ父と、そんな情けない夫の背を撫でつつ車窓から身を乗り出して手を振る娘に手を振り返す母との別れを終えて、ドラ子は列車を隈なく見て回った。

そして赤毛の男の子と癖っ毛の女の子と座席を共にする黒い髪の男の子を見つけ、父より伺っていた外見的特徴に一致していたので尋ねた。

ドラ子としては普通に声をかけたつもりだったが、教え込まれた貴族としての尊大な振る舞いと冷たい印象を与える雰囲気から、ハリー・ポッターと思しき少年は警戒したらしく。

「だったら、なんだよ」

そんな好戦的な返事をされてドラ子は焦った。
最初から印象が最悪だ。敵対は避けたいのに。
しかしあまりにも無礼な態度ではなかろうか。
互いに子供とはいえ、女から声をかけたのに。

いやいや、ここはひとまず冷静に。
そう、まずは相手の油断を誘おう。
親切心を装い、懐に入るのが貴族。

「ポッター、友達は選んだ方がいい」
「どういう意味だい?」
「いいから、私のコンパートメントに来い」

これならそう簡単には断れない筈だ。
何せ女から誘われたのだ。受けるのが当然。
しかし当然ながら貴族の常識は通じなかった。

「悪いけど、友達は自分で選べるから」

ポッターが返したのは、冷たい一言だった。
ドラ子は耳を疑った。そして言葉を失った。
女の自分から勇気を出して声をかけたのに。
そしてあまつさえ、個室にお誘いしたのに。

なにがなんだかわからなくて、ただ悲しくて。

「ど、どうして、そんなに冷たくするの……?」

わけもわからずに、ドラ子は泣いてしまった。


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