34: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:46:48.65 ID:clFucneV0
  
 〇 
  
 それからは、結果から言えば、何もなかった。 
  
35: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:48:21.29 ID:clFucneV0
  
 〇 
  
 午前中に家を出て、懐かしの場所周辺を練り歩き、昼食を摂りまた練り歩く。 
  
36: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:49:23.09 ID:clFucneV0
  
 ■ 五章 在  
  
 どれくらい、途方に暮れていたのだろうか。すっかり陽が落ちて、辺りは夜の帳が下りていた。 
  
37: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:51:05.12 ID:clFucneV0
  
 思えば、この男はいつだって間が良い。 
  
 狙いすましたような、その瞬間しかありえないような、そんなタイミングを引き当てる。 
  
38: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:52:43.23 ID:clFucneV0
  
 「学校の先生だって、卒業しても先生って呼んじゃうし、別におかしいことないでしょ?」 
  
 「まぁ、その理屈で言えばそうか」 
  
39: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:53:47.84 ID:clFucneV0
  
 「なんか、こんなこと言うと変な話だけど、プロデューサーも人並みに人間なんだな、って私は思ったよ」 
  
 「どういうことなの、それ」 
  
40: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:54:48.44 ID:clFucneV0
  
 「私に会えて、嬉しい?」 
  
 「嬉しい。かなり」 
  
41: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:55:37.34 ID:clFucneV0
  
 「でも、その、なんだろう。いなくなったら探してもらえるくらい大事に思ってもらえていた、ってのは嬉しいもんだな」 
  
 「これからはそういう悩み事は私に言いなよ。聞いてあげるから」 
  
42: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:56:27.13 ID:clFucneV0
  
 「気付いてなかったの?」 
  
 「何が?」 
  
43: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:57:06.05 ID:clFucneV0
  
 そのとき、彼が大きく一歩を踏み出して、私の前に立ち塞がる。 
  
 「何?」 
  
44: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:57:34.94 ID:clFucneV0
  
 ぐっ、と力を込めて足の甲を踏んでやると、彼は「いてぇ」と間の抜けた声を上げる。 
  
 そうして私も鞄から携帯電話を取り出して、連絡先を交換した。 
  
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