小日向美穂「グッバイ、ネヴァーランド」
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36: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 00:58:35.31 ID:nY0iWbpOO
「東京でも、こんなに星が見られるんだな」

 人工の光はほとんど消えた元都会の砂浜の上を満点の星空が見守っている。えっと、あれがデネブアルタイル……。

「ベガですよ、プロデューサーさん」

「美穂。そうだったね」

 美穂が指差すのは夏の大三角形。12月に見られるものじゃない。異常気象で暑いなんてわけじゃなく、時間が加速して夏に来てしまったみたいだ。

「こうやって2人で星を見るのも半年ぶりくらいですね」

「そうだな……」

 初夏の川のせせらぎが聞こえて来るようだ。あの時、俺は今まで知らなかった美穂の色んな一面を知ることが出来た。意外とおばあちゃんっ子だったり、川でイワナの掴み取りをするくらいに子供の頃はわんぱくな子だったり。担当として一緒に過ごす時間が多くて小日向美穂博士を勝手に自認してたのに、今なお新しい彼女は増えていく。そしてこれからもそんな彼女の誰も知らない部分がどんどん生まれて来るはずだったのに。

「早くこんな悪い夢から醒めないと」

「えっ?」

 彼女、ううん。アイドルのみんながいるべきステージはここじゃない。大人として、彼女達のファンとして。俺がこの世界の真実を暴くんだ。そう強く誓ったのに。



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