逢坂大河「たまにはいいのよ、たまにはね」
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4:名無しNIPPER[sage saga]
2020/01/23(木) 02:36:39.98 ID:VkxCchnrO
「そんな顔しないで、ほら顔を上げなさい」

促されて顔を上げると、母は私を抱きしめた。

「あんたは美人で可愛いわ。自信を持ちな」
「そんなの嘘だよ」
「嘘じゃないわ。スタイルもいいし」
「背が大きい女は可愛くないもん」

小柄な母にはわかるまい。
世の男共がどんな女を求めているかなど。
奴らは総じて背の小さい女を好む。
別にモテたいわけじゃないけど劣等感は募る。

「あんたのスタイルの良さにびびってんのよ」
「そんなんじゃない」

びびっているのは確かだろう。
誰もが私を見ると、目を逸らして道を開ける。
仲の良い女友達に理由を尋ねてみたところ、私の前に立つと誰もが無言でどけっと言われたような印象を受けるらしく、ショックだった。

「私は……怖がられているだけ」

私は怖いらしい。
たしかに寝起きで鏡を見るとギョッとする。
鏡の中で不機嫌そうにこちらを睨みつける女に思わず謝りかけ、頭を下げて自分だと気づく。

「私の……パパの目を、みんな怖がるの」

目つきの悪い父親から受け継いだ呪いだった。


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