【FGO】アーチャー「2月2日のカルデアにて」
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3: ◆XVOS/FY0A/il[sage saga]
2020/02/06(木) 22:53:19.65 ID:SoHlR5BC0


 ―――ジリリリ!


 けたたましいアラームが、眠りを引き裂いた。

 重い瞼を空けると、時間は既に9時を回っている。

 驚いた、というよりも思わず呆けてしまった。

 確かにカルデアでは魔力消費を抑えるため、消灯時間は睡眠をとるよう義務付けられている。

 とはいえ、サーヴァントとなったこの身であって、まさか寝坊などするとは。

 ……事実は事実。

 今さら慌てたところで、もう遅い。

 カルデアのキッチンも昔と違い人員も増えた。

 自分一人が欠けたとして、やりくりできるだけの猛者は揃っている筈だ。

 勿論、少なくはない迷惑を被ってはいるだろうが。


「全くマスターの事を言えないな、これでは」


 自嘲気味に笑い、部屋を後にする。

 普段ならばキッチンに籠っている事もあってか、この時間帯のカルデアを歩くのは新鮮だった。 

 視界に映るのは、古今東西から集められた高名たる英霊達。

 今では慣れた光景だが、当初は驚いたものだ。

 一人一人が一騎当千たるサーヴァントを何十にも集め、人理を守る為の力とする。

 通常の聖杯戦争ではとても考えられぬ、超規模な理念だった。

 結果として人理修復は成し遂げられ、世界は平穏を取り戻した。


(……何故今になってあの時の事など、夢に……)


 英霊達がひしめく通路を歩きながら、思案する。

 人類最後のマスターに召喚され、2年ほどが経過した今。

 なぜ今更、あの転換の光景を思い出したのか。

 抑止の代行者となり、永劫に思える時を過ごした。

 もはや人だった頃の過去など殆ど忘れてしまったが、それでも今でも鮮明に思い出せる情景が二つある。

 一つは、あの月下の誓い。

 呪いにも似た夢を、ある男から受け継いだ。

 もう一つは、あの運命の出会い。

 聖杯を巡る十数日の戦いを、共に駆け抜けた。

 例え、この身が地獄に落ちようと、決して忘れる事のない二つの光景。

 その一つを、今更ながら夢に見た。




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