【FGO】アーチャー「2月2日のカルデアにて」
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4: ◆XVOS/FY0A/il[sage saga]
2020/02/06(木) 22:54:39.30 ID:SoHlR5BC0

「おや、重役出勤だねぇ、今日は」


 気付けば、食堂に着いていた。

 習慣というのは恐ろしいもので、無意識の内に足を運んでしまっていたらしい。

 朝食という一つ目の鉄火場を乗り越えて、キッチンは落ち着いている様子だった。

 声を掛けて来たのはブーティカ女史。

 紅茶を片手に朗らかに笑いかけてくる。


「紅い人がいない分今日はきりきり舞い……キャットは謝罪と報酬を所望する……」

 
 その隣では、タマモキャットが疲れ切った様子で机に突っ伏している。

 やはり、自分が抜けた穴はそこそこに大きかったのだろう。


「おや、エミヤさんでちか。今日はどうしまちたか?」


 奥から現れたのは紅閻魔。

 手中のお盆には、余り物でつくったまかない料理が乗せられている。

 三人に謝罪をしながら、その近くへ腰を下ろす。

 正直に寝坊をした、と告げると、三人共に呆れたような表情をした。


「エミヤ君は無理するところがあるからねぇ……」

「厨房に戦場にマスターの世話焼きに……挙句サーヴァントの身で寝坊する程に疲労困憊……まさに社畜の鏡……」

「ワーカーホリックなのもいいでちが、もう少し自分を大切にすることも必要でちよ……」


 自分としては別段無理をしているつもりもないのだが、そう思われるだけの行動をとっているのだろう。

 ……少しカルデアでの自己の在り方について見詰め直した方がいいのかもしれないか。


「今日は任務もないんだろう? なら、丸一日ゆっくり休みなって。こっちは何とかしとくからさ」

「うむ、紅い人にはいつも世話になっている所存。過労死を防ぐためにも、キャットも一肌脱ぐワン」

「今日は羽根を伸ばして、自分のために時間を使うんでち。間違っても手伝おうとはしないように。分かりまちたか?」


 あれよあれよと、休日を押し付けられる。

 この三人ならば何の心配もないだろうが、いきなりの休日と言われても何をすれば良いのか。

 考える間もなく、厨房から締め出される。

 ここにいればどうせ働いてしまうだろうからとの、三人満場一致での見解だった。


「あ、そういえば―――」


 さて、どうするかと考えながら、食堂を後にしようとしたその時、ブーティカ女史が思い出したように口を開いた。


「小さな騎士王さん、心配してたよ。あんたがいないって。ちょっと顔を見せにいってあげれば?」


 からかうように微笑みながら、彼女はそう告げた。








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