【FGO】アーチャー「2月2日のカルデアにて」
↓ 1- 覧 板 20
6: ◆XVOS/FY0A/il[sage saga]
2020/02/06(木) 22:56:29.11 ID:SoHlR5BC0
「……なぁ、セイバー」
魔術の一つすら満足に使えぬ中、偶然にも参戦した聖杯戦争。
何をどうやって勝ち残り、生き残り、どんな結果に至ったかすら思い出せない。
だが、それでも、ほんの少しだけ思い出せるとしたら、それは―――、
「少し、トレーニングでもしに行かないか?」
セイバーから師事を受けた事。
寒気が占める道場で、竹刀を持ち、戦い方を教わった。
結果はボロボロでしかなかったし、その経験が聖杯戦争の中で活かせたかは分からない。
それでも、彼女から師事を受けたという事実は、自分にも確かに在った。
予想外の申し出だったのだろう、セイバーは少しばかり呆けたような表情を浮かべ、
「―――いいでしょう。受けて立ちますよ、アーチャー」
その後で、存外嬉しそうに微笑みながら、頷いた。
◇
十数分後、カルデアのトレーニングルームにて、私はセイバーと対峙していた。
仮想空間のため、魔力は無尽蔵。痛みは感じるが、ダメージは残らない。
つまりは、やりたい放題にやって良し、まさにサーヴァントにはうってつけトレーニングルームだった。
(……分かってはいたつもりだが、よもやここまでとはな)
心の底まで見通すかのような真っ直ぐな瞳。
風の鞘に包まれ、不可視の聖剣。
そして、一縷の隙も見られない構え。
正面から相対すればこそ分かる、セイバーの圧。
二度の聖杯戦争、此度の人理修復を経て数多の敵と対峙してきたが、これ程までの圧を感じた事はそうない。
(かつては手も足もでなかったが、さて)
マスターだったかつて、彼女から師事を受けた際は、戦いという次元にすら至っていなかった。
だが、あの頃とは違うという自負はある。
それこそ命を投げ捨てるかのような修練をし、命を投げ捨てるかのように様々な争乱に身を置き、進んでいった。
今日はその全てを彼女にぶつけたいと思った。
一人の英霊としてではない、遥か過去に捨てた『エミヤ』という個人として、彼女と戦ってみたい。
「さぁ―――来なさい、アーチャー」
此方の心情を読んだかのように、零すセイバー。
その一言を呼び水に、私は双剣を翳してセイバーへと直進した。
11Res/16.58 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20