14: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/02/10(月) 00:57:04.84 ID:CDwt0mRk0
  
  
  電子レンジが「チン」と音を立てる。呆れ顔のPサマ。扉を開け、餃子を取り出し、パックの蓋をとる。 
  安っぽいにおいがした。だからこその親しみやすさだとぼくは思う。 
  
 「いっただっきまーす!」 
  
  口の中へと放り込む。肉汁。あっつ! あっちゃ! はふはふ! うまい! うま……あつい! いやこれ、中めっちゃ熱いな!? 
  
  ……んべぇ。 
  
 「おい、口の中のものを出すな」 
  
 ひき肉と白菜とニラと皮を蓋の隅っこへと吐き出して、とりあえず冷ます。舌がひりひりする。 
  Pサマの常識に満ちたお言葉は聞かなかったことにしよう。水。まずは水だ。 
  
 「しゃあねぇな。さっさと喰っちまえ。置いてくからな」 
  
 「やったぁ! Pサマありがとう! 大好き! 愛してる!」 
  
 「本当にそう思うなら、これからの言動に気を付けてくれるんだな」 
  
 「わかってるってば! だーいじょうぶだよ! 今日スタジオに芸能人いっぱいいたけどさ! あいつらぜーんぜんオーラがないね! 光を背負ってないよ! 尊くない! だめだめのぱーさ!」 
  
  地下アイドルのライブ会場の熱気からは程遠い。心を焦がし、吐息に火が付きそうな、爛々と輝く瞳がどこにもない。 
  
 「あんなやつらなんかぼくの敵じゃあないね!」 
  
 「こいつなんにもわかってねぇな」 
  
 * * * 
  
  
41Res/36.99 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 
書[5]
板[3] 1-[1] l20