【メルルのアトリエ】トトリ「大事にするね」
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8:名無しNIPPER[saga]
2020/03/17(火) 21:40:44.00 ID:xmNjixo30
「なんとか言ってよ…」

「それって、その、そういうことだよね」

「…トトリが良ければだけど…私と、一緒の部屋に住んで欲しい。これはこの部屋の鍵だけど、アールズのことが片付いても、なんというか、あんたの一番近くにいたいの」

 潤んで揺れる紫の瞳を見ていると、散らばっていたわたしの思考は少しずつつながりを取り戻していく。それなのに、感情が整理されない。ミミちゃんと一緒の家に暮らす、その意味を咀嚼しなければならなかった。
  日常という自身の存在に深く関わる場所に、自分の意志で他者の存在を受け入れる。トトゥーリア・ヘルモルトとミミ・ウリエ・フォン・シュヴァルツラングの人生が、より密接に繋がる。ミミちゃんの瞳に籠った熱から、仲のいい友人同士で一緒に住むだけ、という話ではないことが伝わってくる。この鍵には、「親友」を超えるための意味が込められていた。
 ミミちゃんはわたしの言葉をじっと待っている。張り詰めた空気に、一度唾を飲み込む。迂闊なことを言ってはいけない、慎重に言葉を選ばなければならない。そんなふうに思って、すぐにその考えを捨てた。

「わたし」

 開いた口から出た声はかすれていたけれど、別にこれでいい。用意されてない声を、感情をそのまま伝えれば、誠意を示すことが出来る気がした。小賢しい思考は今必要ない。言いたいことを言おう。


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