31:名無しNIPPER[saga]
2020/03/26(木) 00:20:23.48 ID:E3bwfHu30
  
  
 「冨岡さん今回はありがとうございました。あなたがいなければどうなっていたか…」 
  
  
 旦那さんが連行された後で俺は冨岡さんにお礼の言葉を述べた。 
 今回の事件は冨岡さんの協力がなければどうなっていたのかわからない。 
 下手をしたらもっと悲惨な事態にさえ陥っていたのかもしれなかったんだ。 
  
  
 「礼はいい。俺は何もしてはいない。」 
  
  
 「そんなことはありません。赤ん坊の出産を手伝ってくれたじゃないですか。 
 むしろ役に立たなかったのは俺の方です。あれだけ啖呵を切っておきながら自分だけでは何も出来なかった。」 
  
  
  那田蜘蛛山、それに無限列車の時と同じだ。俺は結局一人では何も出来なかった。 
  いつもそうだ。誰かに助けられてばかりいる。こんな自分が情けないとすら思う。 
  今回だって俺にもっと力があれば… 
  
  
  「…卑下するな。お前は無力ではない。 
 確かに鬼殺隊の隊士としては失格かもしれない。それでもお前は人を救った。 
 今回の事件は下手をすれば一家は全滅に陥っていたはずだ。」 
  
  
  「けれど…この子以外は…」 
  
  
  「それでもお前は人を救えた。誇れ。胸を張ってみせろ。」 
  
  
  胸を張れと…煉獄さんが遺してくれた言葉だ。それを同じく冨岡さんも言ってくれた。 
  そうかもしれない。俺が卑下していたらそれこそ最後まで付き添ってくれた冨岡さんに失礼だ。 
  
  
  「冨岡さん!本当にありがとうございます!」 
  
  
  「…子はちゃんと届けろよ。」 
  
  
  そう告げると冨岡さんはさっさとこの場を立ち去った。 
  俺が破損させてしまった刀の修復のために刀鍛冶の里へと立ち寄るらしい。 
  今回は本当に悪いことをしてしまった。この埋め合わせはいずれなんとかしよう。 
   
  
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