38:名無しNIPPER[saga]
2020/03/29(日) 16:59:34.61 ID:O0jAO63X0
 ひなた「10年前に貯めておいた在庫もあとわずか……それが売れたら、もう兄ちゃんが遺してくれたものは村から一つ残らず消えてしまう」 
  
 ひなた「長老、みんな……本当にこれで良いと思ってるのかい? それでも育吾郎さんを、兄ちゃんと同じ目に遭わせるのかい?」 
  
 ひなた「あたしの兄ちゃんが命を投げ打って守りたかった村は……こんな村だったのかい?」 
  
 長老「……」 
  
 村人N「ぐっ……」 
  
 村人O「ひ、ひなたよ、村のしきたりに従わねばどうなっちまうか、お前さんの歳ならもうわかってるはずじゃろ?」 
  
 村人P「そ、そうじゃ! 村八分じゃぞ! こいつはお前さんだけの問題じゃない。おとっつぁんやおっかさんだってただじゃ済まねえんだぞ」 
  
 長老「皆の衆、静まるのじゃ」 
  
 村人Q「ちょ、長老……?」 
  
 長老「しきたりとはそこに住まう人が生活のために作るもの……じゃが人を縛り不便をもたらす機能だけが残ったのなら、もはや枷でしかない。人が人の営みに支配されては本末転倒じゃ」 
  
 村人R「長老……しかし、鬼を討つってことは、三角池の赤水を、蘇芳の染め物を手放すってことですぞ」 
  
 長老「育吾郎が美里恩村の将来を案じ、色々と思案しておることは儂も知っておる。この村で誰よりも村の今後を考え行動を起こそうと奮闘しておるのが育吾郎じゃ」 
  
 ひなた「あ、ありゃあ、ばれてたのかい」 
  
 村人S「だけども、染め物なしにこれからどう生活していくんです? 育吾郎が立派になって村を豊かにしてくれるまで我慢するんですかい?」 
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