荒木比奈「何百回目のプロポーズ」
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5:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/30(月) 23:06:39.78 ID:nJ12rVXd0
 ぐしゃぐしゃ、とプロデューサーが頭を掻く。普段人と会うときには綺麗に整えている髪がまるで寝癖みたいにボサっと乱れた。しっかり者のこの人がなかなか見せてくれないだらしなさの片鱗を覗けたみたいでなんだか少し嬉しくなる。
 ……。というか、嬉しいのはそれとしてそう、あれだ。プロデューサーは私のそういう姿をたくさん見ていて知ってるのに、私はこうしてたまにしかプロデューサーのそれを覗けないのはずるい気がする。不公平だ。私はあんなに許しているのに。時々、最近はほとんどわざと隙を見せてアピールしたりしているのに。ドキっとしてくれたらな、なんて思いながら無防備な姿を晒しているのに。
 ずるい。もっと私も見せてほしいのに。許した分だけ許してほしいのに。たくさん甘えさせてほしいから、たくさん甘えてほしいのに。
 ずるい。酷い男。悪いプロデューサー。ほんとにー……

「……まあいいや。それじゃまあ、次はちゃんと頑張りますってことで……」
「え、いや、勝手に終わらせないでくださいよ」


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