121:名無しNIPPER[saga]
2020/05/01(金) 22:27:27.95 ID:TaaH9Z3P0
  
 どこかで聞き覚えのある話でした。 
 さてどこで聞いた話だったかなと考え込みそうになりましたが、 
 ふと、慈しむようにブローチを撫で続けるクラリスの指先が目に留まります。 
  
  「あの、クラリスさんはさ」 
   
  「ええ」 
   
  
  聞こえたの? 
   
  
 口を出た言葉の呪いを、恐ろしさを、加蓮は知っていました。 
 伝えてはいけない言葉を飲み込んで、伝えるべき言葉を真摯に差し出します。 
  
  「……ううん。何でもない。教えてくれてありがとね」 
   
  「どういたしまして」 
   
 見透かされたなと、加蓮は直感しました。 
 軽い自己嫌悪を抱きかけた加蓮に、クラリスは慈愛の笑みを浮かべてみせます。 
  
  
  「主の加護があらん事を」 
  
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