120:名無しNIPPER[saga]
2020/05/01(金) 22:16:58.66 ID:TaaH9Z3P0
  
  「こんな所ですかねー」 
   
  「ありがとうございます。では、クラリスさんからも」 
   
  「かしこまりましたわ」 
   
 傾きの緩やかになってきた文香に水を向けられ、クラリスが柔らかく笑みました。 
  
  「私見も混じりますが、主は私達の裁定者なのかと思います」 
   
  「おっかないね」 
   
  「善きを助け、悪しきを罰する…… 
   加蓮さんの仰るとおり、ちょっぴりこわいかもしれませんね。 
   ですが主は、人に寄り添おうと、近くで見守ろうしているのではないでしょうか」 
   
 クラリスが胸元のブローチを撫でました。 
  
  「それから……」 
   
   
  
  「……クラリスさん?」 
   
  「ああ、申し訳ありません……これは、幼い頃、 
   私の尊敬するシスターから教えて頂いた話なのですが」 
   
  「うん」 
   
  「私達は、誰でも一度――主の声を聞くそうです。 
   そしてそれを、主の声だと気付ける者は、数えられる程に少ないと」 
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