もしもし、そこの加蓮さん。
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51:名無しNIPPER[saga]
2020/04/29(水) 01:24:58.85 ID:SPkljqcV0

自分の全てを暴かれてしまったようで、加蓮の頭に血が昇ってきます。
訳も分からないまま込み上がってきた言葉をぶつけようとして、
声帯が震える直前でどうにか唇を引き結びました。

秋の夜風が汗に湿った肌を撫でていきます。
赤熱していた感情が冷水へ突っ込まれたみたいにすうっと冷えて、
それから父と視線をぶつけ合いました。

恐らくはこの夜が、娘ではなく、北条加蓮として父と向き合った初めての瞬間でした。


 「ライブ、来てよ」

 「ああ。もう有給取ったよ。当日と翌日で二日分」

 「はしゃぎ倒す気満々じゃん」

 「だって文字通りの晴れ舞台だし」


親というのは実に不思議なもので、時として本人以上に胸を弾ませたりもするのです。
張り切った様子でカメラをセットし直す父に、愛娘は小さく苦笑を零すしかありませんでした。


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