もしもし、そこの加蓮さん。
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52:名無しNIPPER[saga]
2020/04/29(水) 01:51:37.98 ID:SPkljqcV0

 ◇ ◇ ◆


 「久しぶり」

 「……あら」


一夜城でした。

ステージ上に組まれたお城のセットも、
今は電源の繋がれていない大型モニターも、
ただ開演の刻を待ちながら眠りこけているかのようです。

ホールのそこかしこでは音響や照明担当のスタッフが忙しなく行き交っていて、
それが舞踏会の開幕を告げるカウントダウンのように感じられて。
きっとこうした業界に興味の無い誰かが紛れ込んだとしても、少しは心を踊らせるに違いありません。

メインステージの一段下、フロア席の最前列に当たる一角で、
加蓮は探し求めていた背中にようやく追いつきました。


 「逢いたかった。恋い焦がれてたわ」

 「ほんとにー?」

 「ええ。嘘は苦手なの」


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