9:名無しNIPPER[saga]
2020/04/25(土) 20:55:55.16 ID:63FTC/uF0
  
  ◇ ◇ ◆ 
   
  
  「どうして身体、弱いのかな」 
   
  
 零れ落ちたような言葉に、両親は動きを止めました。 
 これまで問われる事の無かった、 
 おそらくは娘自身の優しさでずっと押し込められていた痛みに、 
 父も母も今、向き合わなければなりませんでした。 
  
  「俺のせいだよ」 
   
 すぐに父がそう言って、母は何か言いたげな瞳を彼に向けるだけしか出来ませんでした。 
 はっとしたように加蓮は短く息を吐き、何度も首を振りました。 
  
  「嘘だよ」 
   
  
 二人は、何も言えません。 
  
  
  「お父さんも、お母さんも、悪くないもん。悪く、ないよ」 
   
 両親は顔を見合わせてから、少しだけ困ったように、笑いました。 
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