古澤頼子「高峯のあの事件簿・マスターピース」
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22: ◆ty.IaxZULXr/[saga]
2020/05/18(月) 20:47:42.57 ID:RS4SDFXO0
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幕間

この渇望を覚えてから、どのくらい経ったのでしょうか。

心震える光景は、追い詰められた人によってもたらされる。

張り裂けるような感情の痛みで、価値観を捨ててしまうような。

ああ、なんて刺激的。

だけれど。

私は満たされない。

自分でもわからない、どこかから現れる渇望。

そう、羨ましい。

華麗な美術品に心をはせていても。

苛烈な感情を眺めていても。

どこか満たされない。

何故?

両手のネイルは光沢を放っている。

深紅のドレスは自分の体をきつく締めあげている。

薄く小さな唇のルージュは目立たない。

芸術を眺めているためのメガネを外す。

画面に映った青い瞳が、冷たくこちらを見つめ返す。

私が笑えば、彼女も笑う。

さぁ、はじめましょう。

私が、私が作ったモノの中で。

示さなければ。

私が、最高傑作であることを。

幕間 了



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