50:名無しNIPPER[saga]
2020/07/12(日) 21:44:10.12 ID:qe4+sBJv0
 ヨハネの疑問は解決されることなく、ただ時間だけが過ぎて行く。 
  
 1週間ほど経った頃。 
  
 花丸と遊ぶ元の日常が戻ってきたと思っていた矢先のことだった。 
51:名無しNIPPER[saga]
2020/07/12(日) 21:45:43.26 ID:qe4+sBJv0
 今しがた生命力が涸れかけていた花丸は、みるみるうちに生命力に満ちていく。 
  
 やがて、異変の中心でゆっくりと花丸が目を開けた──。 
  
 「ヨハネちゃん……?」 
52:名無しNIPPER[saga]
2020/07/12(日) 21:46:22.24 ID:qe4+sBJv0
 「ヨハネ……ちゃん……?なんだか怖い顔してるずら……?」 
  
 「ほぇ?ああ、ごめんなさい。ちょっと考え事してて。」 
  
 「もう!さっきからマルが沢山お話してるのに!」 
53:名無しNIPPER[saga]
2020/07/12(日) 21:47:28.97 ID:qe4+sBJv0
  
  
 * 
  
  
54:名無しNIPPER[saga]
2020/07/12(日) 21:48:17.28 ID:qe4+sBJv0
 ゆっくりと眼を開ける。 
  
 しなやかに伸びた睫毛を夏の風が撫でる。 
  
 徐に上体を起こし、いつも綺麗に整えているブロンドの髪をかき上げて、マリーは昼寝をしていたことに気づいた。 
55:名無しNIPPER[saga]
2020/07/12(日) 21:48:46.91 ID:qe4+sBJv0
  
  
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56:名無しNIPPER[saga]
2020/07/12(日) 21:49:31.83 ID:qe4+sBJv0
 今日の不思議な現象を理解できずに考え込むヨハネの遥か頭上、徐々に高度を下げ始めた太陽を掠めるように何かが飛んだ。 
  
 それはゆっくりとヨハネの前に降り立つ。 
  
 「ごきげんよう、ヨハネ。」 
57:名無しNIPPER[saga]
2020/07/12(日) 21:50:27.34 ID:qe4+sBJv0
 滔々と語るマリーは、ようやくそこで一息ついた。 
  
 マリーはこちらと目を合わせようとしてくれない。 
  
 様々な感情が頭の中で渦巻く。 
58:名無しNIPPER[saga]
2020/07/12(日) 21:51:06.74 ID:qe4+sBJv0
 「ヨハネ。もう二度とあの子に近づかないこと。これはあの子を、この山を守るための上からの命令です。」 
  
 そんなヨハネに対して、マリーは冷ややかに言い放った。 
  
 「そんな……!」 
59:名無しNIPPER[saga]
2020/07/12(日) 21:52:08.58 ID:qe4+sBJv0
 「あなたが仲良くなった女の子はすでに死んでいるはずの命だった。」 
  
 ヨハネは思わず耳を覆う。 
  
 それでも指の隙間から、容赦なくマリーによる「現実」が耳に流れ込む。 
60:名無しNIPPER[saga]
2020/07/12(日) 21:54:10.72 ID:qe4+sBJv0
 「ヨハネ……」 
  
 目の前のマリーは大きく目を見開いている。その眼には、凛とした煌めきも怒りの色も無かった。 
  
 ただ、少しだけ悲しそうに揺らいでいた。 
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