キャプテン・アメリカ「モテない童貞くんの悩みを聞いてあげてください……?」
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20:名無しNIPPER
2020/08/07(金) 18:45:43.36 ID:Y0oQ9FMM0
「離せ! 離せ! 離せっ!」

バッキーも攻撃の手を休めないが、覆いかぶさるキャップの上体が邪魔をして、存分な威力を発揮できない。

ならばといくつか攻めの手法を変え逆転を試みるが、付け焼刃の技などキャップに通じる筈もなく、ことごとく封殺されてしまう。

バッキーの瞳には、明らかに焦りの色が滲み始めていた。相手に少しでも主導権を握られると、途端に弱くなってしまう性質のようだ。

それに、冷静に観察すれば、技の所作ひとつ取ってもいまいち洗練されていない事が見受けられた。

言うなれば、本の中の知識だけで実戦を知らぬ者のような。いや待て、それではまるで……

しかし、その考えが当たっているのなら、こんなに嬉しい事はない。

我が腕の中で必死に乱れるバッキーが、キャップはたまらなく愛おしくなった。

もう二度と手にする事はないと思われた幸せが、今まさにこの腕の中にある。

彼を離したくない。このまま永遠に戦いを続けていたいとすら思ってしまう。だが──

「そんな目で……この俺を見るなあああぁぁぁ!!」

突如咆哮をあげるバッキー。彼は渾身の力を込めた右腕でキャップの喉笛を掴み、引きはがして力任せに地面に叩きつけた。

したたかに背中を打ち付け、一瞬の呼吸困難に陥るキャップ。

なんとか焦点を定めた視線の数ミリ先。

ほんの少し唇を尖らせれば接吻してしまいそうな距離の先で、怒りと屈辱と戸惑いで爛々と輝くバッキーの瞳が睨み付けていた。

それは鬼の形相と呼ぶに相応しいものだったが、キャップは一切怯まず、また恐れもしなかった。

彼が親友と瓜二つであるからという理由だけではない。

戦いを通し、キャップはバッキーに対してある確信を抱いていたのだ。

「童貞!」

喉を締めあげながら、バッキーがそう吠える。

その言葉の意味が、そしてそれが間違いでない事実が、今にも握り潰されそうな喉笛よりも深くキャップのハートを抉った。

途絶えそうになる意識。しかし、気力を振り絞ってバッキーを見据え、塞がれた喉から精一杯の掠れ声で、キャップは言い放った。

「……お前が童貞!」


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