24: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/08/07(金) 22:02:38.97 ID:S0Anv1g5O
 私の生まれは大陸北東部のテルモン皇国だけど、叔父夫婦の死の後は南西のアングヴィラ王国で育った。 
 記憶を失ったままの私を、たまたまテルモンを訪問していたクリス・トンプソン宰相が拾ったのだ。 
 そして、私は彼の庇護の元育てられた。オルランドゥ魔術学院に入れたのも、彼の口利きがあってのことだ。 
 私に父の記憶はほとんどない。だけど、トンプソン宰相は……私にとっては、親も同然だ。 
  
25: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/08/07(金) 22:03:32.70 ID:S0Anv1g5O
 # 
  
 お茶の後の微妙な空気は、1人の闖入者によって破られた。 
  
 「教授!プルミエールさんっ!お茶にしましょ!」 
26: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/08/07(金) 22:04:07.32 ID:S0Anv1g5O
 「『魔王』?……ズマのハンプトン大魔候、ではなくて?」 
  
 エリザベートが声を潜める。 
  
 「違いますよ。モリブスに、自称魔王が出たそうなんです」 
27: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/08/07(金) 22:05:01.40 ID:S0Anv1g5O
 # 
  
 私の家は、オルランドゥ魔術学院から歩いて10分ぐらいの所にある。 
 家からはオルランドゥ大湖が近い。マナに溢れたあの湖畔を歩くと、それだけで力が湧いてくる気がする。 
  
28: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/08/07(金) 22:05:31.24 ID:S0Anv1g5O
 # 
  
 「じゃあカトリさん、また〜」 
  
 「プルミエール、足元には気を付けてねえ」 
29: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/08/07(金) 22:06:16.33 ID:S0Anv1g5O
  
  
 …………ザッ 
  
  
30: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/08/07(金) 22:07:27.15 ID:S0Anv1g5O
  
  
 「動くな」 
  
  
31: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/08/07(金) 22:08:09.14 ID:S0Anv1g5O
  
  
 その刹那だ。 
  
  
32: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/08/07(金) 22:08:46.66 ID:S0Anv1g5O
  
  
 「……あっ」 
  
  
33: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/08/07(金) 22:09:25.07 ID:S0Anv1g5O
  
  
 恐怖が全身を駆け抜ける。 
  
  
34: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/08/07(金) 22:10:00.74 ID:S0Anv1g5O
  
  
  
 浅黒い肌に尖った耳。そして、まだ幼さを残した顔。 
  
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