10: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2020/09/08(火) 21:29:33.44 ID:REk/3TwAO
 ―― 
  
 ―――― 
  
 「子供、か」 
  
 平塚先生のカップを持つ手の動きは淀みなく動き、コーヒーを口に含む。まるでわかっていたかのような口振りだった。 
  
 「あれから、少しは大人になれたと思っていたけど、間違いだったんです」 
  
 自分の声が冷めているように感じられる。 
  
 ああ、こんなにも終わってしまったのだ。 
  
 「結局俺はあれから、少しも変わってなかった」 
  
 もう少しくらい、自分の声に熱があって欲しかった。 
  
 手放すくらいならいっそのこと手にすることもなかったならと。 
  
 そんな風に思うことも、今はないのだ。 
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