44: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2021/09/03(金) 18:05:03.91 ID:YbM8yKa9O
 ―― 
  
 ―――― 
  
 「……はぁ、今日も終わりと」 
  
  窓の外を見ると空は黒く塗りつぶされていて、対照的に下方は街の灯りが所狭しと並んでいる。今日も空が明るいうちの退勤はしっかりと失敗である。定時退社とは一体? 
   
 「比企谷さん、お疲れさまです」 
 「おう、お疲れ」 
  
  声に振り返ると配属二年目の後輩がそこにいた。こいつもどうやらしっかり残業だったようだ。 
   
 「しんどいですね、こう毎日残業続きだと」 
 「年度末だしな、仕方ない」 
  
  長年培った社畜精神をいかんなく発揮した結果が今の俺だ。おかげで給料は多少良くなったものの、今日のような日はこれから帰っても夕飯を摂って寝るだけだろう。 
   
  ふと、後輩が思い出したようにスマホを取り出す。 
   
 「あ、彼女にラインしないと」 
 「もう結構長いんだっけか?」 
 「まぁ、そうですね。一年とちょっとくらいです」 
  
  それだけ続けばなかなかのものだと思う。俺と雪乃は――と頭に浮かんだ言葉を振り払った。この間から調子が狂っている。 
   
 「比企谷さんはそういうのないんですか?」 
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