37: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/14(月) 21:16:08.17 ID:Od9IjqsH0
  
 「……それは、P君のことが忘れられない、ということなのですかね?」 
  
  社長さんが問う。 
  
 「そういう気持ちがないと言ったら嘘になります……でも、それ以上に」 
  
  私は、まっすぐに告げる。 
  
 「私自身を信じて、しばらくセルフプロデュースでいきたい、と。そう、考えています」 
 「セルフ、ですか……ふむ」 
  
  社長さんはなにやら考えている。 
  
 「川島さんの例もありますけど……やはり今後のことを考えると、分かりましたとは、さすがに」 
 「そうだろうと、私も思います。でも」 
  
  そう言って私は、バッグからPさんの手帳を取り出す。 
  
 「それは?」 
 「これは……Pさんの、スケジュール帳です」 
 「……そう、ですか」 
  
  テーブルの上に置かれた、黒いシンプルな手帳。社長さんはそれを手に取り、ぺらぺらとめくり始めた。 
  
 「私はちひろさんからこれを預かりました。そして中を見て、Pさんの思い描く先を想像しました」 
 「……なるほど」 
 「私は、この想いに報いたい。そう、考えています。そしてそれは」 
  
  私は一息つくと、社長さんの目を見る。 
  
 「私自身がトップアイドルであり続けること、そこに繋がるものだと、確信しています」 
  
  
216Res/171.18 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 
書[5]
板[3] 1-[1] l20