32:名無しNIPPER
2020/09/19(土) 23:01:44.13 ID:66ORp3Ez0
 魔法使い「ありがとう。でも今はちょっと、人に食べさせられたくないの。手に持たせてくれない?」 
  
 口を開けて、と書こうとしたら彼女が困ったような顔で言った。確かに監禁されていたときは無理やり口に押し込まれていてもおかしくない。配慮が足りなかったな、と反省して彼女のもう片方の手に焼き魚を持たせる。 
 『熱いから気を付けて』 
  
 魔法使い「ありがとう・・・美味しい」 
  
 一口食べ、そう言って笑った。少し元気になってくれたようで嬉しい。 
  
 勇者「しかし、会話ができないってのは不便だな。」 
  
 戦士「そうだね。早く城に行って呪術師に呪いを解いてもらわないと。」 
  
 自分の食事を再開させようとしたところで、魔法使いが僕の片手を握っていることに気が付いた。振りほどくのも悪い気がして、僕もそのまま片手で食事をとる。 
  
 勇者「彼女、どうしようか。彼女の友達の家に預けていくしかないかな。」 
  
 戦士「そうだな。城に連れて行くわけにも」 
  
 魔法使い「私の目と耳はどうなるのかしら・・・」 
  
 戦士が話しているのを遮るように、魔法使いが言う。もちろん仕方ないことだが、やはり会話が難しい。 
  
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