ヴィクトリカ「久城……私も、君のことが大切だ」久城一弥「ヴィクトリカ……」
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14:名無しNIPPER[sage saga]
2020/10/06(火) 23:04:10.27 ID:e55HzmPuO
翌朝。

「んっ……あれ? 私は、たしか……」
「あ、起きた? おはよう、ヴィクトリカ」
「ああ、久城……おはよう」

目覚めると、一弥がそこにいた。
どうやら丁度朝食を作り終えたらしく、キッチンからは焼けたパンの香りが漂っている。

「さあ、ヴィクトリカ。朝ごはんだよ」
「む? あの忌々しい緑色の豆はどうした?」
「え? あ、ああ。実は昨日の夜小腹が空いちゃってね。全部僕が食べちゃったんだ」

昨日の夕食で残したグリーンピースについて尋ねると、一弥は慌てて誤魔化してきた。
ヴィクトリカはそうかと頷き納得した様子。

「ホッ。良かった。昨夜のこと覚えなくて」
「ん? 何か言ったかね?」
「ううん! 何でもないよ、召し上がれ」
「ああ、頂こう。と、その前に……」

たっぷり塗られたジャムのパンを囓る前に、ヴィクトリカはにやりと嗤って、言った。

「先にご馳走さまと言っておこうか」
「へ? ご馳走って、どういう意味?」
「無論、グリーンピースを喰らわせてくれてという意味さ。実に、美味だったぞ」

容疑者はダラダラと冷や汗を流して、目を逸らしながら、苦しい言い逃れをし始めた。

「た、たぶん、それは悪い夢だよ」
「ほう? 夢か。だが、それはあり得ない」
「ど、どうしてそう言い切れるのさ?」

ヴィクトリカは告げる。緑色の豆を掲げて。

「知恵の泉が告げているのだよ。夢ではないと。そして、ベッドのシーツに転がっていたこの凶器が、誰のどこから放たれたものか。犯人は久城、君だ」

その日以来ヴィクトリカは、香ばしくも仄かに甘い、緑色の豆が好きになった。


【GOSIKC GREEN・SWEET PEA】


FIN


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