62:伊丹 [sage]
2020/11/21(土) 01:49:41.82 ID:F8D/mY4l0
「俺は、やっぱり莉緒を止めると思うんだ」
「プロデューサーくん…」
「俺はさ」
彼は、顔を真っ赤に染めて。
でも私を見つめて。まっすぐ、言葉をくれる。
「莉緒の歌声が、好きなんだ。
伸びやかな声で、切ない恋の曲を歌い上げる、ステージを包む空気感も。全部。
もしもそれが、タバコなんかで傷つくことを想像しただけで、ゾッとする。
莉緒の歳なら、たしかに喫煙は自由だ。
でも、また莉緒がタバコを吸おうとしたら、俺は同じように止めると思う」
そこで一度咳払いをして、続ける。
「それで……た、たとえ嫌われたって、構わないと思ってる。
俺が嫌われるくらいで莉緒の声が守れるのなら、安いもんだ。
その覚悟はあるつもりだ」
言い終えたあと、彼は、黙りこくる。
私の言葉を待つように。
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