8:伊丹 [sage]
2020/11/21(土) 00:51:34.27 ID:F8D/mY4l0
気まずそうに目を泳がせてから、ため息をついて話す。
「……あーもう、白状するわ。
その先輩、ちょっといいなって思ってる。
仕事めちゃ厳しいけど。
その分、イイ仕事したら素直に褒めてくれんの。
そしたらね、なんか無性に舞い上がっちゃう。やられちゃってんだろうな私」
ほら、ご満足?と、腹いせに私の皿からぼんじりを奪って、ガチッと串に食らいつく。
「やだ!オフィスラブってやつ!
トレンディードラマやってるわねぇ。応援するわよ♪」
私は皿に残ったレバーを口に運んで、結露だらけのグラスを煽る。
バタ子は灰皿にタバコを押し付けて、私を見据える。
「アンタはどうなのよ。いい人、いるの?」
アイドルには、恋愛はご法度。
百も承知で彼女は聞いてきてる。
そんな目だ。
「いい人……ね」
それを聞いて真っ先に思い出す、あの顔。
新曲を持ってくる時の嬉しそうに私の名前を呼ぶ、あの顔。
『莉緒!』って。
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