あなた「空の女王」
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95: ◆3m7fPOKMbo[saga]
2020/12/04(金) 23:10:48.22 ID:0yhOjuuQ0
果林「参ったわね、屋上前っていうけどいなかったし…鍵も開いてる」

果林「あ、いた…って、反対側の校舎じゃない」

果林「……何を考えてるのかしら」


あなた「ZZZZ…」


果林「ベンチに腰掛けてる…ねぇ」

果林「聞こえてる?」

果林「…聞こえてる? 近いようで、遠い距離ね」

果林「…手を伸ばしても、届かない……」

果林「ねぇ……しずくから聞いたわ。『部に移る選択肢も考えるべき』って、皆に言ったって」

果林「でも…そんな風に皆の選択を尊重する裏で…」

果林「本当は泣いてたの? 泣いてたんじゃないの?」

果林「お願い…答えを聞かせて…」

果林(届いてない、届かない)

果林(手を伸ばすこともできない、と叫んだ。あの子は、あの苦痛の、怒りの叫びを)

果林(ずっと胸に秘めて、ただ一人、戦い続けてきたのだ。私は)

果林「………ねぇ」

果林(私は先輩なんだ、彼女よりも)

果林(なのに、あそこまで狂い果てた悲しみを、苦しみを)

果林「ゴミなんかじゃない!」

果林「あなたの二か月はゴミになんかなってない! そう見えてしまったのは…こうなってたから!?」

果林「私がいけなかったの!? 先輩である私が、あなたに何の断りも相談もなくあんな事したから!? それともランジュが強引だったから!?」

果林「でも…! でもぉ…!」ぼろ、ぼろ

果林「あなたの二か月は決してゴミなんかじゃないだって…!」

果林「あんなダンス二か月前は出来るはずもなかったでしょ!? あなたは、あなたは……」

果林「ちゃんと…ちゃんとパワーアップして…帰ってきた…だから、私も…」

果林「パワーアップしたかった! しようしたの! だけどそれが…」

果林「あなたをこんな風に苦しませてしまった! 狂わせてしまった…あああ…」ボロボロ

果林「振り向いて…話を聞いてぇよぉ! うわああああああん!!!!」ボロボロ

果林「私が悪かったのぉ…ごべんなざい……!」

果林「お願い…」

果林(フェンス越しにいる彼女に、届かない。彼女は)

果林(私たちに届いてほしくて、必死に一人で抱え込み続けた。いざ、こうして私たちが)

果林(彼女に届けなくてはならないのに、届かない。その苦しみも、痛みも)

果林(それが彼女に頼り過ぎたツケなのか、それが私たちへの罰なのか)

果林(泣き崩れた私に、彼女はまだ振り向かない)

果林(この痛みが―――――この苦しみが、彼女が二か月の時を経て私たちに会った時の痛みか)

果林(だから狂い果ててしまった―――頼り過ぎたツケを払え、とにこは言った)

果林(救いたいんだ)

8.5/了


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